★與GPT-4o兩人三腳創作的BL小說,生成後的文章有做修改、編輯
★登場人物的名字、性格、設定都是創作者設定的
★創作者指定劇情走向、細節,也會指定台詞,由AI轉換為優美的文章
春休み
春休みが始まって数日。
外はすっかり春らしい陽気になってきた。
でも、俺の気持ちは一向に晴れない。
原因は――あの日の告白。
衝動的に、感情のままに、藤崎にぶつけてしまった。
「好きになってごめん」 「男でごめん」
――今思い返しても、最悪の言葉だった。
告白なんて、本来は前向きなもののはずなのに、俺は謝罪の形でしか言えなかった。
藤崎の「ちゃんと考える」という言葉が、どういう意味なのかも分からない。
考えるって、何を?
可能性があるのか、それとも、俺を傷つけないための優しい断り文句だったのか。
考えれば考えるほど、不安だけが膨らんでいく。
でも、どうすることもできなかった。
「お前、最近なんか元気なくね?」
大地がゲーセンで遊びながら、ふとそんなことを言った。
「……別に」
「嘘つけ。なんかあったろ」
「いや、なんもねぇって」
俺が適当に返すと、大地は「ふーん?」と意味深な顔をしつつも、それ以上は深掘りしなかった。
横で誠がゲームの画面を眺めながら、ぼそっと言う。
「まぁ、陽翔にも色々あるんだろ」
「何だよ、その意味深な言い方」
「いや別に。ただ、悩みがあるなら相談くらい乗るぞ?」
「……考えとく」
俺は誤魔化すようにボタンを連打した。
言えない。
言えるわけがない。
「好きになってごめん」なんて言った相手を、いまだに忘れられずに引きずってるなんて。
「それより、お前らこそ春休み何してんの?」
話を逸らすと、大地が「俺? まぁ、バスケの練習とか?」と笑い、誠は「バイト入れまくってる」とぼそっと言う。
「陽翔は? バイトしてんの?」
「……いや、してねぇ」
「そっか。暇ならまた遊ぼうぜ」
大地は何も気づいていないような顔で、軽く言う。
でも、誠の方は俺をじっと見ていた。
「……お前、本当に大丈夫か?」
「平気」
「そうか」
誠はそれ以上何も言わなかった。
家に帰って、一人になると、やっぱり考えてしまう。
あの日から、藤崎とは一度も会っていない。
学校がないから当然だけど、考えても仕方ないのに、気になってしまう。
藤崎は、俺の告白のことを、まだ「考えている」のか。
それとも、もう答えは決まっているけど、伝えるタイミングを見計らっているのか。
もし、連絡が取れたら、少しは何か分かるのかもしれない。
でも、俺は藤崎の連絡先を知らない。
クラスのLINEグループにはいるから、アカウント自体は見たことがある。
でも、だから何だって話だ。
わざわざグループから個別に連絡を送るとか、不自然すぎるし、何より俺にそんな勇気はない。
……それに、連絡したところで、何を聞けばいいんだ?
「考えてくれてる?」って、そんなの自分から言えるわけがない。
だから、結局どうすることもできなくて、俺はスマホを握りしめたまま、ベッドに倒れ込んだ。
「……はぁ」
深いため息が、春休みの静かな夜に吸い込まれていく。
――こんな気持ちになるくらいなら、好きになんてならなきゃよかった。
そんなことを思ったところで、もう遅いのに。
高校二年の始業式
始業式のために体育館へ向かう途中、昇降口の掲示板に貼り出されたクラス分けの紙を見た。
俺の名前は――2年B組。
「……あ」
そこに並ぶ、見慣れた名前を見て、思わず立ち止まる。
藤崎 悠人。
――また、同じクラス。
その事実を飲み込むまで、数秒の間が空いた。
内心、どこかで「もう同じクラスになることはないかもしれない」と思っていた。
だからこそ、今こうして名簿に並ぶ名前を見て、動揺している自分がいる。
「おっ、陽翔! お前もB組か!」
突然肩を叩かれて、びくっとする。
振り返ると、大地が名簿を覗き込んで「おおーっ」と声を上げた。
「マジかよ、また3人同じクラスじゃん!」
「……3人?」
「誠もB組! お前もで、俺も! すげぇ偶然じゃね?」
大地が妙に嬉しそうに言う。
その瞬間、俺は再び名簿に視線を落とし、誠の名前を確認した。
――本当に、また同じクラスなんだ。
「よっしゃ、これで俺の学校生活安泰!」
「何が安泰なんだよ……」
「え、だってお前らいると楽じゃん?」
大地はケラケラと笑い、俺の背中を軽く叩いた。
「陽翔は? また俺らと一緒で嬉しいだろ?」
「……まぁ」
適当に返事をしつつ、俺はこっそりもう一度名簿を見た。
藤崎の名前を意識してしまう。
――そして、ふと顔を上げると、数メートル先にその本人がいた。
藤崎 悠人。
視線が合う。
一瞬、心臓が跳ねる。
俺が藤崎を見たのと、藤崎が俺を見たのは、どちらが先だったのか分からない。
でも、確かに、藤崎はこっちを見ていた。
何を考えているのか分からない、落ち着いた表情。
でも、それが余計に俺を不安にさせる。
――どういう気持ちで俺を見てる?
――「考える」って言ってたけど、その答えは?
聞きたくても聞けない。
藤崎は、俺を見たまま、ゆっくりとまばたきをして、何も言わずに視線を外した。
……なんだよ、それ。
俺もつい目をそらし、何でもないように振る舞おうとする。
「おーい! 二年B組のやつら、そろそろ体育館行くぞー!」
他のクラスメイトがぞろぞろと体育館へ向かい始める。
「行くか!」
大地が俺の肩を叩き、誠も無言で頷く。
「……あぁ」
俺も歩き出した。
でも、その間ずっと、藤崎の視線の余韻が、消えなかった。
始業式が終わり、クラスごとに教室へ戻る。
二年B組の教室は、去年とは違う校舎の一角にあった。
新しい教室、新しい席、新しいクラス――
……のはずなのに、去年と変わらない顔ぶれがちらほらといる。
特に、大地と誠がいるのはやっぱり安心する。
「っし! 席どこだ?」
教室に入るなり、大地が前の方の黒板に貼り出された座席表を確認しに行った。
俺もついて行って、自分の名前を探す。
――窓際の席。
「お、俺そこだわ」
「俺は……え、ちょ、マジで?」
「ん?」
大地が驚いたような声を上げたので、何かと思って視線を移す。
すると、俺の隣の席に書かれていたのは――藤崎 悠人の名前だった。
「……は?」
思わず二度見する。
「お前、藤崎と隣じゃん!」
「……マジかよ」
動揺を悟られないように、できるだけ無表情を保つ。
だが、内心は完全に落ち着かない。
ただでさえ「また同じクラスか……」と意識してしまっていたのに、まさかの隣席。
この1年間、ほぼ話さなかった相手が、告白した途端にこんなに近くなるなんて、何の嫌がらせだ。
大地と誠は適当に話しながら、自分の席へ向かっていく。
俺もため息をつきつつ、自分の席へと歩いた。
――そして、その席にはすでに藤崎が座っていた。
席に着くまでの一瞬のやり取り
俺は少し迷ってから、無言のまま椅子を引く。
横目で藤崎の様子を窺う。
――よりによって、こいつが隣かよ。
動揺は隠していたつもりだけど、内心では焦っていた。
藤崎は何を考えているんだろう。
あの「考える」と言った言葉の意味は、もう決まったのか。
でも、俺にまだ何も言ってこないってことは……?
――いや、考えるな。
まずは、普通に話せるようにならなきゃダメだ。
"普通に"って、どうすればいいんだ?
今さら「よろしくな」とか言うのも変だし、かといって何も言わないと、このまま1年間ずっと気まずいままになりそうだ。
それだけは嫌だ。
俺は、ぎゅっと拳を握って、何とか自然に話しかけようとタイミングを伺う。
机の中に教科書を入れながら、ちらっと藤崎を見る。
何か話そうと口を開きかける。
「……」
だが、声が出ない。
タイミングを間違えたら不自然になる気がして、結局何も言えずに口を閉じた。
その瞬間、隣からぼそっと声が聞こえる。
「……また、同じクラスだな」
「……あぁ」
思わず返事をしたけど、たったそれだけ。
それ以上、会話が続かなかった。
――やっぱり、難しい。
でも、これで終わるのは嫌だ。
俺は、もう一度口を開く。
「お前、成績いいし、別のクラス行くかと思ったけどな」
自然なトーンを心掛けたつもりだったが、少しぎこちなかったかもしれない。
藤崎はペンを回しながら、俺の方をちらっと見て、淡々と答える。
「そんな仕組みねぇだろ」
「……確かに」
くそ、適当に言いすぎた。
でも、今のやり取り、"普通の会話" っぽくなかったか?
俺はさりげなく藤崎の表情を確認する。
相変わらず落ち着いていて、何を考えているのか分からない。
……少なくとも、避けられてるわけじゃなさそうだ。
それなら、これからどうにかして、もうちょっと普通に話せるようになっていけば――
「よっし! 二年B組のみなさん!席決まったな!」
突然、大地がバンッと手を叩いて、教室の空気を変えた。
「せっかくまた同じクラスになったし、これから一年よろしくなー!」
「……何その委員長みたいな挨拶」
誠が呆れたように言うが、大地は気にしない。
「いやいや、なんかさ、新学期って感じでテンション上がんね?」
「お前、クラス替えしても陽翔と俺と一緒だから安心してるだけだろ」
「それな!」
大地は満足そうに笑いながら、俺の方を見た。
「陽翔も、隣が藤崎なら楽勝じゃね?」
「は?」
「いやだって、成績良いやつが隣ってことは、授業のノートとか借り放題だろ?」
「……お前、どんだけ楽したいんだよ」
俺が呆れながら返すと、大地は「ははっ」と笑った。
誠はそんな俺たちを見ながら、ふと俺の隣――藤崎に視線を向ける。
「藤崎って、ノートとか貸してくれるタイプ?」
誠がなんとなく話を振ると、藤崎は軽く頷いた。
「頼まれたら、別に断る理由はないけど」
「おぉ、優しい!」
大地が笑いながら藤崎の肩をぽんと叩く。
「陽翔、これはお前、最高の隣席ゲットじゃね?」
「……勝手に決めんな」
「ま、仲良くやれよ」
大地の適当なノリに、俺は軽くため息をついた。
でも――
少しだけ、"普通のクラスメイト" みたいな会話ができた気がする。
この距離感が、少しずつ自然になればいい。
俺はそう思いながら、窓の外をぼんやりと眺めた。
隣席、緊張な日々
新学期が始まって数日。
隣の席に座る藤崎とは、それなりに話すようにはなった。
……とはいえ、"普通に話せる" とは言い難い。
授業の合間に、何となくノートを貸し借りしたり、必要最低限の会話をする程度。
それでも、1年間ほぼ会話ゼロだったことを考えれば、大きな進歩ではある。
でも、俺はまだ探り探りで話している感じがあった。
"友達" というほどでもないし、"告白した相手" という立場で接するのも違う気がする。
だからこそ、少しずつ話す回数を増やそうと、俺なりに努力していた。
――が、これが意外と難しい。
例えば、休み時間。
周りはワイワイと新学期の話で盛り上がっている。
俺はちらっと隣を見た。
藤崎は相変わらず落ち着いた雰囲気で、机の上でペンを回しながら、適当に教科書をめくっていた。
……今なら、話しかけられるか?
「お前、授業のノートとかちゃんと取る派?」
何でもいいから話そうと思って出た言葉がこれだった。
めちゃくちゃ微妙な話題だった気がするが、藤崎は特に気にした様子もなく「普通に取るけど」と答えた。
「へぇ……」
「お前は?」
「あー……まぁ、そこそこ」
本当は適当だけど、それを正直に言うのも微妙だったので、誤魔化しておいた。
「じゃあ、そっちがノート取ってないときは貸してやるよ」
藤崎は淡々とそう言った。
「……え?」
予想してなかった返答に、一瞬固まる。
「お前、たまに授業中、意識飛んでるときあるだろ」
「は?」
「前の授業でも、板書途中で止まってたし」
「……気のせいじゃね?」
「いや、結構分かりやすかったぞ」
「……」
ちょっとした煽り?いや、これ普通に指摘されてるだけか?
何にせよ、藤崎にそこまで見られてるのは妙に気恥ずかしかった。
でも、こうして藤崎と"会話してる" ということが、少しだけ安心する。
告白して、どうなるか分からなかった。
避けられるかもしれないと思っていた。
でも、こうして普通に会話ができるなら――
「……ま、助かるわ」
俺は照れ隠しのように軽く言った。
藤崎は「別に」と特に気にした様子もなく、またペンを回し始めた。
2週間後、少し安心できた橘
新学期が始まって、もう2週間が経った。
最初はぎこちなかった隣席の関係も、今ではある程度馴染んできた気がする。
――いや、"馴染んだ" っていうのはちょっと違うかもしれない。
実際のところ、俺は 「安心」していた。
最初は、「どう接すればいいのか分からない」とか「避けられたらどうしよう」とか、そんなことばかり考えていた。
でも、藤崎は何も変わらなかった。
少なくとも、俺を避けたりはしない。
俺が話しかけたら普通に返してくれるし、たまに向こうからも話しかけてくる。
だからこそ、俺は気づかないふりをしていた。
――こんなふうに、"普通に接してくれること" が、めちゃくちゃ嬉しいってことに。
「お前ら、なんか隣同士でうまくやってんじゃん?」
突然、大地が俺の席にやってきて、そんなことを言った。
「は?」
「最初めっちゃ気まずそうだったのに、今は普通じゃね?」
「……別に、普通に話せるだけだろ」
「はいはい、ツンデレツンデレ」
「……ツンデレじゃねえし!」
適当に言い返したが、実際、"普通に話せる" ことがどれだけ俺にとって大きなことかは、自分が一番分かっている。
隣に藤崎がいる。
話せる。
それだけで、気持ちが楽になる。
――でも、それってつまり、俺は"もっと好きになってる"ってことなんじゃないか?
その考えがふと頭をよぎって、ドキッとする。
「……おい、陽翔?」
「……え?」
誠がじっと俺を見ていた。
何か言いたげな視線。
誠は、俺の気持ちに気づいているんじゃないか――そう思えてしまうほど、探るような目をしていた。
「……なんだよ」
「いや」
誠はふっと目をそらして、軽く肩をすくめた。
「まぁ、いいんじゃね?」
何が "いい" んだよ、と聞き返そうとしたけど、やめた。
誠には誤魔化せない気がするし、俺自身、自分の気持ちをうまく説明できる自信がなかった。
「……だな」
俺は適当に返して、大地の軽口に話を合わせた。
こいつ忘れてんじゃね?
最初はぎこちなかった隣席の関係も、今では普通に話せるようになった。
いや、"普通" というか、なんというか――
俺は、藤崎の態度が "あまりにも普通すぎる" ことに焦っていた。
いや、いいんだよ?
普通に話せるようになったのはすごくいいことだし、嬉しい。
でも……
――こいつ、俺が告白したこと忘れてねぇか!?
2週間の間、藤崎は俺に対して これまでと何も変わらない態度 だった。
避けられるわけでもなく、特別に意識してるような素振りもなく、普通に会話をする。
いや、逆に考えたらこれってめちゃくちゃすごいことじゃないか!?
普通、告白されたら意識するだろ!?
俺が「好きだ」って言ったこと、考えてくれてるんじゃなかったのか!?
なのに、藤崎は俺と話してても、特に何の変化もない。
2週間経った今も、"クラスメイトの1人" みたいな感じで接してくる。
俺が告白したこと、なかったことになってるのか?
それとも、「考える」って言ったのは社交辞令で、実はもう答えは決まってるのか?
いやいやいや、それならそれで言えよ!!
2週間も経ったのに、何のリアクションもないってことは、つまり――
――こいつ、マジで忘れてる可能性ある!?!?
「……っ」
考えれば考えるほど、妙な焦りがこみ上げてくる。
授業中、隣の藤崎を見る。
ペンを回しながら、さらさらとノートに書き込む手。
すっと伸びた指先。
落ち着いた雰囲気の横顔。
真剣に黒板を見つめる目は、どこまでも冷静で、俺がこんなにソワソワしてることなんて知る由もない。
……こうして見ると、やっぱりこいつ、かっこいいよな。
「……っ」
一瞬でもそんなことを思ってしまった自分に、内心で舌打ちする。
違う違う、今はそんなこと考えてる場合じゃねぇ!!
俺は 「こいつ、俺のこと意識してる?」 って確認したいんだろ!?
なのに、なんで俺が意識させられてんだ!?
やばい、なんか負けてる気がする。
俺は慌てて前を向いたけど、心なしか顔が熱い。
こんなんじゃダメだ。
もっとこいつに俺のことを意識させる方法を考えないと――!!
すると、数列前の席にいる誠が、ちらっと俺の方を見た。
「……お前、なんか最近そわそわしてね?」
「は!? 別にしてねぇし!!」
思わず声が大きくなり、大地が「何々?陽翔、なんか悩み事?」と少し前の席から絡んでくる。
「なんでもねぇよ!!」
「えー、絶対なんかあるだろー!」
大地は笑いながら俺の背中をバンバン叩く。
誠は俺をじっと見たまま、ふっとため息をついた。
「……まぁ、いいけどな」
誠の言葉に、俺は内心 (いや、良くないんだよ!!) と叫びながら、また横目で藤崎を見る。
すると、藤崎は俺の視線に気づいたのか、ふと顔を上げた。
「……?」
何?みたいな顔してるけど、俺は言葉を飲み込んだ。
……ダメだ、クラスの中じゃどうしようもない。
俺がこいつに"特別"だって思われるには、二人きりになるしかない。
だから――
"放課後、一緒に帰るしかない!!"
俺は拳を固く握りながら、決意を固めた。
一緒の帰り道
藤崎と二人きりで帰る。
そのはずなのに――
俺の頭の中は、全く整理がつかないまま、ぐるぐると混乱していた。
「……」
隣を歩く藤崎は、特に何の変化もなく、いつも通り淡々と歩いている。
普段と同じペース。
普段と同じ歩き方。
……そして、普段と同じ態度。
――いや、だからこそダメなんだって!!
俺は今日、こいつにもっと俺のことを意識させるために一緒に帰ることにした んだろ!?
それなのに、肝心の藤崎が全然"俺を意識してる感じ"を見せねぇから、何をどうしたらいいのか分かんなくなる!!
何か話そうと思って、ちらっと藤崎を見上げる。
藤崎は無表情で前を向いたまま、ただ歩いているだけ。
「……」
俺は何か話すべきか、いや、どう話しかけるべきか、それとも自然な会話の流れを作るべきか――と考え始めた瞬間、脳内が混乱しすぎて何も言えなくなった。
結局、俺はただ口を開きかけて、また閉じる。
それを隣で見ていた藤崎が、ふと俺に視線を向けた。
「……お前、なんか今日おかしくね?」
「は!? 何が!?」
「いや、さっきから微妙に挙動がおかしい」
「っ……そ、そんなことねぇし!!」
(あるわボケ!!!お前が好きだからだろうが!!!)
叫びたいのを必死でこらえて、俺はそっぽを向く。
藤崎は「ふーん」と軽く流して、そのまま歩き出した。
……いや、なんでそんなあっさりしてんだよ!!
こっちは色々考えて、色々必死なのに!!
俺は心の中で何度も舌打ちしながら、藤崎の隣について歩く。
淡々とした藤崎の反応に、俺はさらにモヤモヤを募らせる。
マジで、なんでお前はそんなに普通なんだよ!!
俺はこんなに意識しまくってるのに!!
何か話したいのに、頭がぐるぐるして言葉が出てこない!!
そんな俺の焦りとは対照的に、藤崎はそのまま黙って歩き続けた。
そして、いつの間にか駅に着いていた。
改札を通り、ホームで電車を待つ。
夕方の時間帯だからか、ホームにはそれなりに人がいた。
俺たちは無言のまま、電車が来るのを待っていた。
……やべぇ、俺、全然話せてない。
このままじゃ、ただ一緒に帰ってるだけで終わっちまう。
でも、藤崎は普通にしてるし、ここで変に意識しすぎると「お前、ほんとにおかしいぞ」とか言われそうだし……!!
俺はじりじりとした焦りを抱えながら、電車がホームに滑り込んでくるのを見つめた。
やがてドアが開き、俺たちは車内へと乗り込む。
運よく、二人並んで座れる席が空いていた。
俺は何となく藤崎を意識しながら、隣に座る。
「……」
「……」
沈黙。
くそ、まただ。
藤崎は特に気にする様子もなく、スマホを取り出して操作を始めた。
俺は、それを横目でチラ見しながら、モヤモヤを抱えたまま座り続ける。
こうして電車に乗って並んでるだけで、俺はめちゃくちゃ意識してるのに、こいつはまるで気にしてないみたいで――
「お前、落ち着けよ」
「落ち着いてるし!!」
いや、落ち着いてねぇ。
自分でも分かってる。
でも、藤崎の言葉に反応した瞬間、何をどう取り繕うべきか分からなくなって、変に姿勢を直したり、膝の上で手を組み直したり、落ち着きのない動きを繰り返してしまう。
藤崎はそんな俺を横目で見ながら、また「……ふーん」とだけ呟いた。
いや、なにその反応!?
何か言えよ!!
俺は心の中で叫びながら、そっぽを向いた。
スマホをいじる藤崎。
横でそわそわする俺。
「……っ」
なんで俺ばっか意識してんだ。
お前も、もっと俺のこと考えろよ!!
俺は歯を食いしばりながら、車窓に映る藤崎の横顔を盗み見る。
――それなのに、こいつはやっぱり変わらない。
普通にスマホを閉じて、何気ないトーンで「もうすぐ着くな」と呟いただけ。
その一言に、俺の心臓が跳ねた。
「……っ」
なんなんだよ、俺。
こいつにただ話しかけられるだけで、なんでこんなに動揺してんだ。
このままだと、マジで何も言えないまま駅を出ちまう。
――ダメだ、何か言わなきゃ。
でも、何を?
俺は唇を噛みしめながら、電車が駅に近づいていくのを感じた。
そして、ついに電車が停車し、俺たちは駅を出た。
もうこのまま黙って帰るのは耐えられねぇ。
俺は決意を固めて、ついに口を開いた。
「……なぁ、お前、俺のことどう思ってんの?」
その瞬間、隣にいた藤崎の歩みが、わずかに止まった。
「……ん?」
俺は、しまった、と思った。
けど、もう引き下がれない。
ついに俺は、今まで溜め込んでいた想いをぶつけることになる――!!
「お前、俺がお前に......好きって言ったの忘れてんのか?」
心臓が跳ね、自分が思ったよりずっと緊張してる。
「俺は何も考えてないわけじゃない」
俺の顔を見て、藤崎が淡々といった。
え、なにそれ。 それって、俺のことを考えてる……?
いや、でも……考えてないかもしれない……?
もし、それが「俺のことを考えてる」だったら……。
いやいや、こいつ、忘れてねーだろうけど、考えてないかもじゃねえか……。
俺の気持ちを忘れたわけじゃない。それは分かる。
でも、だからこそ、慎重になってるのかもしれない。
さっきの俺の告白を忘れてないのは分かってる。
でも、だからこそ怖い。 「好き」って、もう一度言う勇気はない。
……いや、違う。
まだ言うタイミングじゃないだけだ。
これから、俺がゆっくり藤崎を意識させればいい。
そうだ、焦るな。
ぐるぐると渦巻く思考を振り払うように、俺は小さく息を吐いた。
翌日授業中
先生に指名され、隣で藤崎が静かに立ち上がる。
黒板にさらさらと数式を書き込む藤崎。
スムーズで、無駄がなくて、きれいな字。
堂々とした姿勢で、間違うことなく答えを導き出す。
その一連の流れを、俺はついぼんやりと見てしまっていた。
「……」
すげぇな。
やっぱ、こいつって頭いいんだよな。
しかも、特に得意げな様子もなく、当然みたいな顔してるのがまた……なんつーか……。
「……っ」
やばい、また意識してる。
「お前、分かった?」
「……あ? まぁ……」
適当に誤魔化すと、藤崎は「ならいいけど」とあっさり返す。
「……分かんねぇなら、後で教えるけど?」
「っ……!?」
不意打ちすぎて、心臓が跳ねた。
(いや、そんなの言われたら、なんか勘違いしそうなんだけど!?!?)
俺が変な間を空けていると、藤崎は「あぁ、いいなら別にいいけど」と淡々とノートをめくる。
――やべぇ、言わなきゃよかった!!!
俺は何事もなかったように視線を前に戻しながら、内心で頭を抱えた。
翌日の昼休み
藤崎は基本的に教室で昼食をとる。
ある日、俺、大地、誠の三人で昼飯を食べていると、誠がふと呟いた。
「なあ、藤崎って毎日教室で食ってるよな」
「まあな。特に食堂に行く理由もないし」
「でもさ、たまには食堂で食わねえの?」
「行ったことがないわけじゃないけど……別に教室で困ることもないし」
「そっかー。まあ、確かにここだと落ち着くしな」
俺は何気なく藤崎の横顔を見やって、藤崎と目が合ってしまった。
「へぇ~お前甘いの好きなのか?」とクスッと笑う藤崎が俺のカフェオレを覗き込む。
……その笑顔、ずるいんだけど。
不意に心臓が跳ねる。何も意識しないふりをして、無言でカフェをひと口飲む。
「……」 落ち着け。普通に返せばいい。
「……別に。好きなだけだし」
「ふーん?」
(あー、やっべ、なんか誤魔化した感がある!!)
最近の帰り道
帰り道。
今日も、俺は藤崎と並んで歩いている。
もうこの流れが当たり前になっていた。
それが"偶然"なのか、それとも"そうなってるだけ"なのかは分からないけど……。
俺は、また思い出す。
――最近の帰り道、俺、めっちゃ藤崎のこと意識してるよな……。
最初は「なんだよ、マジで意識してんのかよ……」と呟いてしまっただけだった。
でも、それからも――
「……やっぱ好きなんだけど」
「……こいつ、かっこよすぎんだろ……」
そう思った瞬間が多くなった。
(……俺、マジでこいつのこと前より好きになってねぇか?)
気づいた瞬間、心臓が跳ねた。
――いやいやいや、それは違う!! 俺は別に……っ!!!
強引に否定しようとするが、一度自覚した気持ちは簡単に消えてくれない。
だって、今こうして横にいる藤崎の気配すら、さっきからずっと意識しちまってるし……!
……ダメだ、これはもう考えない方がいい。
そう思って、俺は無理やり別のことを考えようとする。
でも、隣にいる藤崎のことを考えないようにするって、めちゃくちゃ難しい。
そうこうしているうちに、いつもの分かれ道に着いた。
「じゃあな」
藤崎は何の気なしにそう言って、いつも通り帰っていく。
俺は、その背中を見ながら、ふと口をついて出た。
「……俺、やっぱ好きなんだけど」
その言葉が、ふと口をついて出た。
「……ん?」
藤崎の足がぴたりと止まり、俺の方を振り返る。
「……っ!!?」
やばい、聞かれた!?!?
全身が一気に熱くなって、思考がフリーズする。
でも、やばい、なんか言わないと……!!
「な、なんでもねぇ!!!」
とっさに叫んで誤魔化そうとする。
「……」
藤崎は、じっと俺の顔を見つめてきた。
(や、やめろ、その顔!! 絶対なんか考えてるだろ!!!)
緊張で鼓動が早くなる。
けど――
「……ふーん」
藤崎は、少しだけ目を細めたあと、何事もなかったかのように前を向いた。
「?」
……え、流された??
「じゃ、また明日」
いつも通りの口調で言い残し、藤崎はそのまま歩き出す。
(えっ……なんか、普通すぎない!?!?)
俺の心臓が爆発しそうなのに、藤崎は全然動揺してない。
もしかして……聞こえてなかったのか?
いや、でも、一瞬止まったし……。
でも、もし本当に聞こえてたなら、もうちょっと何か反応があっても良くないか?
(……もしかして、ただの冗談だと思われた!?)
やばい、そう思ったら急に恥ずかしさが倍増してきた!!!!!
「~~~~っ!!!!!」
耐えられなくなって、俺はその場から全力で駆け出す。
背後から、藤崎の 「お前、ほんと面白いな」 って呟く声が聞こえた気がしたけど……。
――俺は絶対に振り返らなかった。
家の玄関に飛び込むと、そのまま壁にもたれかかる。
「……俺、マジで何やってんだ……」
心臓がうるさい。
「……もう知らねぇ……!」
自分にそう言い聞かせるけど、熱はなかなか引いてくれなかった。
またの授業中
「……おはよう」
席に着いていた藤崎が、何の変化もなく、普段通りに挨拶してきた。
「……お、おう……」
俺は思わず、一瞬間を空けてしまう。
……普通?
いや、普通すぎねぇか!?!?!?
構えてたのに、あまりにも昨日のことがなかったかのような態度に、逆に戸惑う。
いや…俺、昨日「……俺、やっぱ好きなんだけど」って言ったはずだけど……?
アイツ、なんか言った気もしたけど……
でも、なんか気まずくなるのも嫌だから聞けない……。
そう思いつつも、どこかモヤモヤするのは何でだろう。
俺は心の中でぐるぐるしながら、藤崎の横顔をちらっと見た。
――やっぱり、こいつの考えてること、分かんねぇ。
気がつけば始業のチャイムが鳴り、俺は微妙に落ち着かないまま授業を迎えることになった。
「橘」
「……へ?」
唐突に呼ばれて、俺は一瞬思考が追いつかなかった。
「そこ、どうなる?」
先生の声がする。
どうやら、黒板の問題の答えを聞かれたらしい。
「え、えーと……」
やばい。
全然聞いてなかった。
黒板を見るが、数字と文字が意味を成していない。
これ、どうする!?
すると――
「先生、ここの計算が少し紛らわしいんで、補足説明してもらってもいいですか?」
隣から、静かに藤崎の声がした。
「ん? ああ、たしかに……」
先生が頷き、黒板に新たな説明を書き足す。
――その間に、俺はこっそり藤崎のノートを覗いた。
「……っ」
一瞬、藤崎がこっちを見た。
バレた!?
と思ったけど、藤崎は何も言わず、すっとノートを少し俺の方に寄せた。
(……フォローしてくれてんのか……)
助かった……。
こっそり安堵しながら、ノートを見て急いで理解し、なんとかギリギリ答えを出す。
先生が俺の回答を確認し、「そう、それで合ってるな」と頷いた。
「じゃあ次……」
先生の視線が別の生徒に移り、俺は心の底からホッと息をついた。
「……ありがと」
小さく呟くと、藤崎はただ「ん」とだけ返した。
いや、なんでそんな普通にしてられるんだよ……!!!
俺は妙にドキドキしながら、藤崎のノートに書かれた文字をなんとなく眺めた。
俺より綺麗な字。
読みやすくて、整理されてて……。
(……なんか、こういうとこも好きなんだよな……)
って、今何考えた!?!?!?
やばい。
無意識にまた"好き"が出てきた。
普通の友達として接するつもりだったのに、なんで俺、結局こいつに助けられてばっかで、惚れ直してんだよ……!!
俺は内心で頭を抱えながら、藤崎のノートから視線をそらした。
またの昼休み
昼休み。
いつものように大地と誠と一緒に飯を食う。
「てかさ、陽翔、お前今日なんか様子おかしくね?」
箸を動かしながら、大地がふと口にした。
「は!? 何が!?」
「いや、なんかさっき授業中、ぼーっとしてたっつーか……」
「誠も思ったよな?」
大地が隣の誠に話を振ると、誠は「まぁ、珍しく聞いてなかったな」と頷いた。
「そ、それはたまたまだろ!!!」
俺は焦って反論するが、二人は疑わしそうな目で俺を見ている。
「たまたまにしては、反応がガチで焦ってたけど?」
「あとさ、藤崎に助けられてたよな」
「っ!!!」
そこ、見られてたのか……!!!
「いや、別に!! それもたまたまだから!!!」
「ふーん」
誠が微妙な表情で俺を見る。
(やばい……なんか誠には察されそうな気がする……!!!)
俺は無駄に動揺しながら、ご飯をかき込む。
「まぁ、お前がそう言うならいいけど」
誠がさらっと流した。
でも、俺にはその言葉が「本当にそうか?」って言ってるように聞こえてならなかった。
(……誠、やっぱ察してるのか……?)
俺はますます落ち着かなくなりながら、残りの昼休みをやり過ごした。
またの 帰り道
授業が終わり、今日も藤崎と並んで駅へ向かう。
この時間が、すっかり"いつものこと"になっていた。
(……これ、普通に考えてすごくねぇか?)
1ヶ月前までは、ほとんど話したこともなかった相手だぞ?
それが今じゃ、当たり前みたいに一緒に帰ってる。
藤崎は「別に」って顔をしてるけど、こっちは意識しないようにするのに必死なんだけど……。
「……」
横を見ると、藤崎は黙って歩く。
これも、なんか"普通"になってしまった。
それが嫌なわけじゃない。
むしろ、俺としては嬉しいくらいなんだけど――
(俺、前よりこいつのこと考えてねぇか……?)
静かな歩道、遠くで車の音が響く。
藤崎と並んで歩くこの時間。
なんとなく、安心する。
いつの間にか、そんな風に思うようになっていた。
(……俺、こいつのことやっぱ好きなんだろうな)
そう思うとなんかおかしくて、つい藤崎をずっと見つめてしまった。
「……なに?」
一瞬だけ、藤崎が視線を寄越す。
「な、なんでもねぇ!!!」
俺は咄嗟に誤魔化し、速足になる。
俺はそのまま駅の改札へ向かい、"普通の顔"を作ることに全力を注いだ。

AI生成的主角2人的外型插畫