平和条約に伴う朝鮮人、台湾人等に関する国籍及び戸籍事務の処理について
法務府民事甲第四三八号
昭和二十七年四月十九日
法務総裁官房長 柳川真文
内閣官房長官
各省次官
最高裁判所事務総長
人事院事務総長
御中
平和条約に伴う朝鮮人、台湾人等に関する国籍及び戸籍事務の処理について(通知)
平和条約の発効の日以後における国籍及び戸籍事務の処理に関して、別紙の通り当府民事局長から管下各法務局及び地方法務局の長に対して通達したので、参考までに通知する。
法務府民事甲第四三八号
昭和二十七年四月十九日
法務総裁民事局長 村上朝一
法務局長
地方法務局長
御中
平和条約に伴う朝鮮人、台湾人等に関する国籍及び戸籍事務の処理について(通達)
近く平和条約(以下単に条約という。)の発効に伴う、国籍及び戸籍事務は関して、左記によって処理されることとなるので、これを御了知の上、その取扱に遺憾のないよう貴管下各支局及び市区町村に周知万取り計らわれたい。
記
第一、朝鮮及び台湾関係
(一)朝鮮及び台湾は、条約の発効の日から日本国の領土から分離することとなるので、これに伴い、朝鮮人及び台湾人は、内地に在住している者を含めてすべて日本の国籍を喪失する。
(二)もと朝鮮人又は台湾人であった者でも、条約の発行前に内地人との婚姻、縁組等の身分行為により内地の戸籍に入籍すべき事由の生じたものは、内地じんであって、条約発効後も何らの手続を要することなく、引き続き日本の国籍を保有する。
(三)もと内地人であった者でも、条約の発行前に朝鮮人又は台湾人との婚姻,養子縁組等の身分行為により内地の戸籍から除籍せらるべき事由の生じたものは、朝鮮人又は台湾人であって、条約発効とともに日本の国籍を喪失する。
なお、右の者については、その者が除かれた戸籍又は除籍に国籍喪失の記載をする必要はない。
(四)条約発効後は、縁組、婚姻、離縁、離婚等の身分行為によって直ちに内地人が内地戸籍から朝鮮若しくは台湾の戸籍に入り、又は朝鮮人及び台湾人が右の届出によって直ちに同地の戸籍から内地戸籍に入ることができた従前の取扱は認められないこととなる。
(五)条約発効後に、朝鮮人及び台湾人が日本の国籍法の規定による帰化の手続によることをようする。
なお、右帰化の場合、朝鮮人及び台湾人((三)において述べた元内地人を除く。)は、国籍法第五条第二号の「日本国民であった者」及び第六条第四号の「日本の国籍を失った者」の該当しない。
第二、樺太及び千島関係
樺太及び千島も、条約発効とともに日本国の領土から分離されることとなるが、これらの地域に本籍を有する者は条約の発効によって日本の国籍を喪失しないことは勿論である。
ただこれらの者は、条約発効後は同地域が日本国の領土外となる結果本籍を有しない者となるので戸籍法による就籍の手続をする必要がある。
第三、北緯二十九度以南の南西諸島、小笠原諸島、硫黄列島及び南鳥島関係
標記の諸島の地域に本籍を有する者は、条約の発効後も日本国籍を喪失するものでないことはもとより、同地域に引き続き本籍を有することができる。
右諸島のうち、沖縄その他北緯二十九度以南の南西諸島に本籍を有する者の戸籍事務は、条約の発効後も従前通り福岡法務局の支局である沖縄奄美大島関係戸籍事務所で取り扱われ、また、小笠原諸島、硫黄列島及び南鳥島に本籍を有する者の戸籍事務については、条約発効の日から東京法務局の出張所として小笠原関係戸籍事務所が設置され、同事務所において取り扱われることとなる(本月十四日附民事甲第四一六号本官通達参照。)。
別紙(三)
統計委員会事務局総務課長
公正取引委員会事務局総務課長
全国選挙管理委員会事務局選挙課長
公益事業委員会事務局総長
国家地方警察本部総務部総務企画課長
国家消防庁管理局総務課長
地方財政委員会事務局官房総務課長
公職資格訴願審査委員会事務局総務課長
外国為替管理委員会事務局総務課長
首都建設委員会事務局長
電波監理総局文書課長
土地調整委員会事務局長
宮内庁長官官房総務課長
特別調達庁長官官房長
賠償庁長官官房秘書課長
行政管理庁長官官房秘書課長
北海道開発庁庶務課長
地方自治庁連絡課長
別紙(四)
内閣総理大臣官房人事課長
同 会計課長
同 監察課長
同 財閥役員審査課長調査室長
同 審議室長
同 社会保障審議連絡室長
同 官邸事務所主任
同 賞勳部長
総理府恩給局長
同 統計局長
同 □□出版用紙割当局長
付属情報局長
国立世論調査所長
中央災害救助対策協議会事務局長
科学技術行政協議会事務局長
社会保障制度審議会事務局長
日本学術会議事務局長
地方行政調査委員会議事務局長
警察予備隊本部長官官房長
【相關史料】
伴隨和平條約,關於朝鮮人、臺灣人等國籍及戶籍事務之處理(日文原文)
伴隨和平條約,關於朝鮮人、臺灣人等國籍及戶籍事務之處理(中文翻譯)