2022-07-11|閱讀時間 ‧ 約 13 分鐘

つばき時代     自創日文短篇(自翻中文)2022.07.11初發表

    這是關於日治時期 台灣文學作家 張文環所寫下的長篇小說《山茶花》的現代式想像......。ㄧ
    創作文 白佳宜 繪圖家 林欣燁
    創作文 白佳宜 繪圖家 林欣燁
    小說標題:
    つばきと彼らの時代
    山茶花和他們的時代
    筆者 白佳宜
    P1
    賢は新しく建てられた故宮南院区で、午後を潰した。
    賢在新建設的故宮南院裡,消遣了一個午後。
    故宮までの道のりで、眩しい日差しを受けて、そこにまたがる白い橋に、賢がひとり立っていた。
    到故宮大門口前,午後令人目眩的陽光下,賢一個人站在通往大門的白橋上。
    彼はわがままに吹く暑い海風に襲われ、少し眠るように目を細めた。
    他任意由海風吹拂,感到倦意而將眼瞇起。
    海の果てまで目を凝らして、少し過去の思いが心の中に流れた。
    極力凝望海的盡頭,稍微讓過去的思緒略過胸前。
    故郷を離れた、およそ四年かな?高校時代から家に戻れる機会はあまりなかった。
    離開故鄉大約有四年了吧?自從高校時期就不太有機會回家。
    多分彼の時間が他のことに占められた。
    他的時間,大概都被其他事物所佔去。
    P2
    賢はしばらく、その姿勢が維持したまま。
    賢就這樣暫時維持這個姿勢。
    どれだけの時間が流れた後、日差しがだんだん弱くなって、気温が少し下がったのを感じ、賢は階段を降りていった。
    不知過了多少時間,刺膚陽光漸漸趨緩,感到溫度稍降後,賢走下階梯。
    前に娟が言ったあの映画館に向き、歩くスピードを少し早めた。
    そして、彼は外のバススタションに着いた。
    往娟之前說過的電影院過去,他加緊腳步,來到外頭的公車站。
    P3
    黄昏た街に、微かな人たちの姿が浮かんで、夕日が滲んだ光の中に、影のように寄り添いた。
    黃昏的街道中,浮現些微人影,在滲滿夕陽餘暉的光彩下,影子漸趨於一致。
    それとも、空の雲に宿るようにぼやけた。
    且天上的雲彩也一起寄託在人們影子上,模糊焦點。
    娟に聞いた、この街に隠された秘密の映画館は、嘉義(かぎ)うみべの東石鄕(とうせき きょう)の近いところで、営業を始めたばかりだ。
    從娟那裡聽到隱藏在街道盡頭的秘密電影院,剛在嘉義東石鄉的附近開始營業。
    P4
    バロック様式をモチーフにして建てられたその姿は、雲林(うんりん)の西螺座(せいら ざ)に似ていた。
    以巴洛克式風格為基調而建造的秘密電影院,和位在雲林的西螺座帶著相似的風格。
    賢は、前にも同じような建物の姿が印象に残っていた。ある映画の中に。
    賢好像有印象這座電影院的建築,在某部電影中。
    P5
    あれ……そうだ、確か最近ちょっと、作者七等生(ななとうせい)の小説を改編して、砂河哀歌(すながわ)という映画を見たのだ。
    啊...對啦,最近剛好有看到作家七等生短篇小說改編的電影—沙河悲歌啊。
    P6
    ガラス戸を開けた後、「ようこそ、時代映画館ヘ」の言葉が出た。話をするのは俊の従姉妹、娟だ。
    推開玻璃門後,裡頭冒出一句話「歡迎光臨、時代電影院」。說話的人正是賢的表姐妹,娟。
    小さい頃から、彼は常に彼女の姉さん、錦云と一緒に遊んだ。
    小時候,賢時常和她姊姊,錦云一同玩耍。
    その時の娟は、まだ美しいお姉さんと比べられない程の子供だ。
    娟在那個時候,還是個無法和美麗的姊姊互相比較的小孩。
    賢はあのとき、娟は煩いと感じた。実際に、娟はかしこい子供で、同時に少しわがままな女の子だ。
    賢只覺得那時娟很煩人。實際上,娟是聰慧的女孩,但同時也很任性。
    P7
    二人はそのまま、お互いに相手を睨み続け、幼い頃の懐かしい感覚を取り戻すように、カンウターで少しつず言葉を交わした。
    兩人就這樣互相盯著彼此,似乎想回復到小時候的狀態,在櫃檯前一點一滴的交談。
    殆どはつまらない話で、賢が久しぶりの帰省中なので、娟は両手を腰に当てて、じっくり賢の姿を見た。
    幾乎都是不重要的雜談,看著許久不見的賢,娟兩手插腰,凝視著他。
    一方、彼女はうれしさを隠しきれずに、話題をつづけた。「もう故郷に戻る気がしたのか?」
    同時,她也掩不住喜悅,不斷開啟話題。「已經想回來我們故鄉了呀?」
    でも、賢は娟が大人になったのをぼんやり感じたので、美しくなったと思いながら、言葉の使い方は少しあやふやになっていた。
    但賢已經對娟成熟的樣貌感到恍惚,覺得娟變美了,所以和她的對話也變得曖昧起來。
    P8
    「ね、聞いてるの?」娟は賢に大きな声で問いかけた。「ま〜〜昔と全然変わってない。成長してないんだから、バカな賢」
    「喂,你在聽嗎?」娟對賢大聲說。「唉~~還是和一前一樣,完全沒長大,白痴賢。」
    賢は娟のいつもの皮肉に対して、少々失望した。心の中でそう思った、「娟の高飛車な態度はまだ治っていなかったね、美人なのに惜しい!」
    賢對娟一直以來的諷刺感到些許失望,在心中想著,「娟的傲嬌態度還真的沒變啊。虧她是個美女!」
    P9
    ポロシャツを着た叔父さんが賢と娟の所に、近づきながら、微笑んで言った、「映画が始まるぞ。」そして娟は賢の手を取って、「はい、急がなきゃ!」
    穿著polo衫的伯伯走向賢和娟,微笑說「電影開始囉。」
    娟抓住賢的手「好、趕快來吧!」
    P10
    映画はもう始まった。彼らが最初に見たのは、張文環という少年の物語りだ。
    電影已開始放映。他們最先看到的是,主角張文環的故事。
    P11
    老いた張文環さんは自分の机前に座って、窓の外へ目を据えていた。
    老去的張文環坐在自己的書桌前,眼神固定在窗外。
    何か遠い昔に気持ちを宿っていた。
    將情感放在某處遙遠的往昔中。
    友達と一緒に日本にいた、あの輝いた青年時期だろう。それとも、台湾に戻った頃、胸を張って理想を語っていた彼達の面影を思っただろう。
    是想到和友人們在日本的那個光芒閃耀的青春時代;還是返台後意氣昂揚,互訴理想的面容呢?
    外は、ただ黒い夜の景色だけど······
    外頭卻只有黑夜的景色.....
    P12
    台湾の日本時代は、もう彼のような人たちの頭の中にしか残っていないのだ。今、老いた彼の気持ちは、昔に宿って、孤独に佇んだ。
    台灣的日治時代,已經只留存於像他這樣的人心中了。現在他只能將情感寄託於過往,在孤獨裡佇立著。
    多分、その時代の終わりを思い出すと、いつも仲間と親友と別れた姿と、死ぬ恐怖とが伴って、後の悲しさを味わったので、その時代を正視することができないのだ。
    大概是因為想到那個時代的終局,一直都和親友夥伴別離的畫面連結在一起,伴隨而來的對死亡的恐懼,如今在未來的現世中不斷體會的悲哀情懷,讓他無法正視那個時代吧。
    ただ、彼の頭の隅に、彼と共に残っていくだろう。
    僅僅在他腦中一隅,和他們共存。
    P13
    それでも、彼は振り返る時には、その時代を覚えていきたかった。生涯の最後、何かを残さなければならないのだ。
    即便如此,在回首過往時,他還是想記得那個時代。在自己生命的盡頭,不得不留下什麼。
    地に這う物のような時代を書き続けて生きると決めた。
    於是他決定藉由書寫,體現像滾地郎一樣的時代。
    それは心で時代を生きた証拠だ。
    這是時代活在內心裡的證據。
    p14
    映画はいつの間にか終わった。画面は黒い夜の景色に戻って、そしてあるタイトルが浮かんだ。
    電影不知何時結束了。畫面回到黑色的夜晚場景,上頭浮現一排字幕。
    「現実の狭間に、夢を追い続けろう。たとえこれが戻れない夢でも......」
    「在現實的狹縫裡,持續追逐理想吧。即便這是已經無法實現的夢想也好.....」
    p15
    でも、今の時代は大きな変化があった。
    但,現在的時代已然改變。
    自分の一生が、他の何かに奪われることがあってはならない。
    自己的人生,已經無法讓任何事物剝奪。
    たとえ誰であっても、私を影響させることはできない。
    即便是誰也一樣,都無法影響我的決定。
    そうすることで、自分の将来を守れるのだ。と賢はそう思った。
    這麼做,才能保護自己的未來。賢這麼想著。
    p16
    彼は、実はすでに、日本へ留学する事を決めたのだ。娟に黙っていたのは、どうしてなんだろか?と自問自答した。
    事實上,他已決定前往日本留學。
    為何對娟保留不說,他自問。
    彼女を悲しませる事を避けたかったが、それでも、言わなかったのは、彼の住んだ世界と彼女の住んだ世界とは違いすぎたのだろうか? 何か話しても何も変われなかった気がした·······
    他想避開可能會讓她感到遺憾的事物,不說是因為,他和她兩人的世界已然不再相同嗎?有種無論說什麼也無法改變任何事物的預感.....
    だって、娟はもう故郷のこの街で、生きていくことを決めたのだ。
    因為娟已經打算,在故鄉裡生活下去了。
    p17
    一方、娟の方がすでに、その映画の世界に引き込まれたみたいだった。
    另一方面,娟看似已被電影世界吸引。
    人はいつか、変わるのかしら?変わりたくないとしても、まだ時代の流れに沿って生きている······
    人總有一天,會改變吧?即便不願變化,仍會沿著時代的潮流繼續活下去.....
    彼女は映画の中に、何か大事なものを見ている感じがした。
    看來她在電影裡,體會到某些重要的事物。
    p18
    隣の賢は何か言おうとした。「···明日、日本に行く···」、ひたすら思い込んでいた娟は、ふっと頭を上げた。
    隔壁的賢想好像欲言又止。「...明天,我要去日本...」,絞盡腦汁思索的娟,突然抬起頭來。
    突然、また別れを告げられ、娟は言葉を出せなかった。
    突然這樣被告別,娟說不出話來。
    p19
    次の朝、賢がバスに乗り込もうとした時、娟は遠いつばきの木の下に立った。
    隔天早晨,賢正要搭上巴士時,娟站在遠遠的山茶花樹下。
    彼が最後に見たのは、彼女が背を向けて、俯いて地面のつばきを見つめていた。もう会えない気持ちが空気に漂っていた。
    他最後看到的是,她背向他低著頭,看著掉落到地面的山茶花。不會再見面的氣氛飄蕩在空氣之中。
    p20
    賢にとって、つばきという花は真冬に咲いて、ボトッと落ちるまでに、苦しみに耐え続けていた。
    對賢來說,像山茶花這樣的花朵寒冬盛開,在凋落前,都持續忍受著嚴寒。
    寂れた村の生活で、川の流れによって、いつか、この花は手の届かない遠いところへ、行ってしまうのだろうか?
    在蕭條的鄉村生活中,隨著河川漂流,總有一天,這朵花會不會到達我再也無法觸及之地呢?
    真冬に燃えるように咲きつづけた花のに······。
    明明是在寒冬盛開如火的花.....。
    p21
    賢が故郷を離れたおよそ一年後······。
    賢離開故鄉約一年後.....。
    娟が川のそばに座って、瞳の中に、月が照らしていた川の流れを映していた。
    娟坐在河川旁,眼瞳裡倒映著月光照射的河流。
    p22
    川の中の生物がたまに娟の素足に触れて、岩のはざまで、自由に泳ぎながら、時々急な流れに巻き込まれた。
    河川裡的生物有時觸碰到娟的赤腳,在岩石的縫隙中,時而自由悠遊,時而被捲入湍急的川流裡。
    p23
    彼らの姿が水面に現れ、娟は賢のことを思い出した。
    他們的身姿在水面顯現,娟想起賢的事。
    魚群は人と同じように、時代の波によって、揺られて、わずかな波紋の動きも受けていた。
    魚群和人們一樣,順著時代的波流搖晃,同受變動的波紋影響。
    p24
    彼女は、静かにそこで座っていて、自然と共鳴していた。
    她靜靜地坐在那,和自然產生共鳴。
    夜に光っている水面で、魚群は河に潜りながら、もっと深く暗い河の底に溶け込み、姿が隠された。
    在夜晚發光的水面,魚群潛入水中,向更深處游去,身影融進河川的暗處,轉瞬即逝。
    一瞬として、どこにも探せられない、影のように触ることができなくなった。
    瞬間就已無法再度觸及。
    p25
    娟の瞳が、明かりを灯すように、水面の一点に凝らした。
    娟的眼眸中,如點燈般往水面一處凝視。
    光が反射して、彼女は少し意識を失われ、そこに座ったまま、身動きひとつもせずに。
    光反射的緣故,讓她似乎稍微失去意識,就坐在那裡,無法動彈。
    p26
    耳をすませて聞くと、つばきが枝からボットと散り落ちるような音がした。
    仔細凝聽的話,會聽到山茶花從枝幹上掉落地上。「碰咚」的沙沙響聲。
    さっき、この音に気になった矢先、他の音にも音がするような感じがした。
    剛剛將注意力放在掉落的聲音上,似乎也同時響起另一道聲音。
    p27
    この音は、あの旅人が立てた落ち葉のささやかなざわめきですか?
    這個聲音,會是那個旅人踩踏落葉的微響嗎?
    それとも、これはただ落ちたものと共鳴し合う、心の泣くような囁きですか......
    還是,這只是和凋落的聲音共鳴,如悲泣般的囁語呢?
    p28
    娟は思いながら、振り返った......
    娟一邊想,一邊回過頭......
    分享至
    成為作者繼續創作的動力吧!
    © 2024 vocus All rights reserved.