こんにちは、雲山です。文章を書き終わると、次は「本編ではない文章」へと移る雲山の番がやってきました。今年7月に出版された猫小説『小黒猫はタマを切りたくない』が、その「本編」なのです。「タマを切る前の私は誰?タマを切った後の私は誰?」――そう、タマの存在意義を求め、街の野良猫に生まれ変わることも厭わない、あの毛むくじゃらの小黒猫が、あなたをストリートアニマルたちのタマ哲学へと案内してくれます。
さて、宣伝の定番コーナーの後に、今日は何を書くのでしょうか?
そう、今回も猫に関連する話題です。今回ご紹介するのは、東京神保町の片隅にひっそりと佇む一軒の書店。見た目こそ一般的な神保町の書店と大差ないかもしれませんが、その中身は猫一色の特異な書店です。そう、十年前に普通の書店から猫専門書店へと変貌を遂げた「神保町にゃんこ堂」、あるいは「姉川書店」のお話です。
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姉川書店は元々普通の書店で、通りがかりの客に様々な書籍を提供していた、ごくありふれた書店でした。しかし十年前、姉川書店は日本の出版業界が衰退し始め、売り上げが急激に減少するという大きな危機に直面しました。このままでは閉店するしかない、と覚悟を決めた店主は、本好きの娘に助言を求めたのです。そして娘が提案したのが、姉川書店を「猫専門書店」に変えるというアイデアでした。
今日の神保町にゃんこ堂、姉川書店を見れば、この決断が正しかったことは明白です。なぜなら、ちょうど十年前、日本で「猫ブーム」が勃発し、猫や犬をテーマにした出版物が急増し始めた時期だったからです。店内の本棚4つが猫書籍で埋まり、やがて書店全体が猫関連の書籍とグッズでいっぱいになるまでに成長したのです。そして姉川書店は「神保町にゃんこ堂」として生まれ変わり、現在も営業を続けています。
この内容は神保町にゃんこ堂のウェブサイトより参考にしています。
にゃんこ堂のTWEETもよろしく。
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神保町にゃんこ堂は神保町の十字路に面した少し奥まった場所にあります。建物自体は小さく、四角い二階建ての東京の古い家屋で、一目で歴史を感じさせます。書店の入口は、銭湯のように左右に分かれたカウンターを中心に配置されており、なんとも懐かしい雰囲気です。しかし中にあるのは、温泉ではなく、猫書籍、猫書籍、そしてさらに猫書籍です。
(店内の写真は僕のメモリカードを失いだから、にゃんこ堂の皆様に頼まれて、新く撮るものです。)
「猫専門書店って何がそんなに特別なの?どうせペットの飼い方や健康管理の本が置いてあるだけでしょ?」と思うかもしれません。しかし、そんな古典的な考え方はあまりにかわいらしいものです。猫や犬がペットとして、さらには家族として、人間社会でますます重要な存在となるにつれ、猫関連の出版物は質的にも量的にも驚異的な進化を遂げています。特に猫ブームが未だ続く日本では、猫はさまざまな学問領域にまで進出し、学術的テーマとして扱われることさえあります。
台湾でも代理出版されている日本の猫本『猫が歩んだ近現代』は、「日本は本当に古くから猫を愛してきたのか?」というテーマを学術的に探求しています。また、私たちが日本を訪れた際には、ちょうど最新刊の『猫王――猫の伝承とその源流』が出版されていました。この書籍は、世界各地の猫をテーマにした伝説を紐解き、猫物語の精神的な系譜を探る学術書です。
など、ジャンル小説から日常文学まで、さまざまな領域で猫の影がちらついています。神保町にゃんこ堂では、さらに『ねこ検定 公式ガイドBOOK』シリーズも出版しており、猫飼い主が知りたい「基本知識」を網羅しています。これらの参考書さえあれば、猫飼い主の8割以上の問題は解決できると言っても過言ではありません。
そして、猫の医療関連書籍も忘れてはいけません。日本の猫医療書は、台湾のものとは違い、全カラー写真で「もし猫がこんなものを吐いたらどう対処すべきか」などの実践的な内容が充実しています。さらに「地震などの災害時、どうやって猫と一緒に避難するか」という章も追加されており、日本の震災経験が反映された実用的な内容となっています。
また、視覚的に楽しめる猫書籍も充実しています。岩合光昭の猫写真集や、日本の猫画家によるアートブックなど、猫の芸術作品が書店のもう半分を占めています。絵には疎い私でも、思わず財布の紐を緩めてしまいそうです。
日本で本を買ったことがある人ならご存知かもしれませんが、日本の書店は本に紙のブックカバーをつけてくれます。神保町にゃんこ堂のブックカバーには、店内で販売されている猫画家の作品が使われており、そこには「So many books, so little time.(本が多すぎて、読む時間が足りない)」という言葉が記されています。しかし、神保町猫堂の場合は「So many cat books, so little store space.(猫本が多すぎて、店のスペースが足りない)」という現実も皮肉めいているかもしれません。
台湾からの猫小説を、まだ未完成の翻訳でありながらも、神保町にゃんこ堂が受け入れてくれたことに、心から感謝しています。『小黒猫はタマを切りたくない』に貴重なスペースを割いてくれたこと、日本と台湾が今後も猫を通じて素敵な縁を紡いでいけることを願っています。
以上、ざっと二千字ほどですが、読んでくださりありがとうございます。私は雲山、そしてまた次回、猫小説家として「本編」を書き進めていきます。また次の記事でお会いしましょう。