2024-04-27|閱讀時間 ‧ 約 23 分鐘

お帰りなさい ! 松本さん !

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湾生松本洽盛さん@花蓮・鳳林

2015年に公開された映画『湾生回家』をご覧になった方なら、出演者の松本洽盛さんを覚えておられるだろう。 現在、90歳近いご高齢の松本さんだが、まだまだお元気。「コロナの流行も落ち着いたので、今年はぜひ人生最後?の帰郷、つまり台湾への里帰りを実現したい」と、日々、体調管理に励んでおられるとか。

私は映画「湾生回家」を通して松本さんを知り、その自然体で淡々とした態度に惹かれ、松本さんの記憶の隙間を埋める事が出来ればと情報収集を思い立った。

2016年、台南市で開催された「不老日本夢 台日同窓会」交流会に松本さんが参加された時にお目にかかり、友人となり、今では松本さんの「ファン」といっても過言ではない。


松本さんの母方祖父・青柳房太郎さんは、花蓮港の稲住27番地で青柳商店を営み、靴や下駄だけでなく、呉服や自転車も売っていた。

松本さんが親戚から聞いた話では、熊本に住んでいた祖父・房太郎さんは、台湾が日本に割譲されたとき「台湾の人たちは皆、靴を履いていない裸足で生活している。そのため履物屋が少なく、台湾に渡った日本人は不便をている」という話を耳にし、それを聞いた房太郎さんは、「これぞビジネスチャンス!」と、早速、日本人による開発が進められている東台湾の花蓮に目をつけ、履物を売る商売を始めたという。

花蓮港稲住27番地の青柳商店は現在どの場所になるのだろうか。「台湾の百年歴史地図」をみると、青柳商店のあった場所は現在、花蓮市南京街328號にあるデザート店になっている事がわかる。当時とは状況が変わり、人々も変わってしまってはいるが、昔の祖父の店があった場所を訪れることは、大きな喜びになるに違いない。







青柳商店の近くにあった映画館「稲住館」や和菓子店の「恵比須」も、松本さんの子供時代の思い出の場所だ。


日本統治時代の花蓮港街の映画館─稻住館

祖母に連れられて出かけた映画館「稲住館」に行くのは一大イベントであり、何をみたか覚えがなくても、今でも懐かしんでいる。



出典:『東臺灣新報」,昭和16年(1941)7月18日。

また明治32年(1899)創業の恵比須菓子店は125年の歴史があり、名物のあんこ芋は日本統治時代に天皇に献上されたこともある。 この美味しさは松本さんの舌も記憶しているようで、訪台した際には友人や親戚へのお土産として欠かせないものとなっているという。


惠比須餅舖─花蓮市中華路65號




かつて松本さんが漏らした言葉を思い出す。「私は台湾に行くたびに生まれ育った地を訪ねています。生まれた瑞穂の町、育った萬里橋の田畑、川、学校に通った鳳林の町、祖母と一緒に過ごした花蓮の街を歩き回るだけで満足します。どういうわけか、台湾の樹木や村の家々を見ると気持ちが落ち着くのです。」 湾生の故郷・台湾への愛着は、このわずかな言葉にも表れている。




松本さん、今年はぜひ故郷・台湾へお帰りください。そして、懐かしい故郷の風景と思い出を訪ね、忘れられない味を楽しんでください。


2024年の松本洽盛さんの近影





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