蛍が飛びたったのはずっとあとのことだった。蛍は何かを思いついたようにふと羽を拡げ、その次の瞬間には手すりを超えて淡い闇の中に浮かんでいた。それはまるで失われた時間をとりもとそうとするかのように、給水塔のわきで素早く弧を描いた。そしてその光の線が風ににじむのを見届けるべく少しの間そこに留まってから、やがて東に向けて飛び去っていった。
蛍が消えてしまったあとでも、その光の軌跡は僕の中に長く留まっていた。目を閉じたぶ厚い闇の中を、そのささやかな薄い光は、まるで行き場を失った魂のように、いつまでもいつまでも彷徨いつづけていた。
僕はそんな闇の中に何度も手を伸ばして見た。指は何にも触れなかった。その小さな光はいつも僕の指のほんの少し先にあった。
過了一段時間之後螢火蟲才飛走。螢火蟲好像想到了什麼似的把翅膀張開,在那之後的瞬間,越過了把手在淡淡的闃黑中飛了起來,那就好像時間倒流般在水塔的邊緣快速地畫了一道弧線。那一道光的弧線像是滲進風裡一樣短暫停留在視線所及之處,然後朝向東方飛離。
即便螢火蟲消失了一陣子,那一道光的軌跡還是在我心中停留了一陣子。彷彿閉上眼睛般厚重的漆黑裡,那疾行淡淡的光線,就好像不知何處去的魂魄般一直一直徬徨著。
我在那樣深沉的闃黑中,試著幾度把手向前伸展,手指什麼都沒有摸到,那道小小的光線一直都在我手指觸摸不到的前方。
我為妳朗讀這一段村上春樹在挪威的森林裡寫下的句子。
這是我第一本讀完的原文長篇小說,當時日文程度理當最好,剛畢業,檢定考試也剛及格,可是讀得還是有點吃力。
然而這一個段落描述的片段我卻意外地嫻熟與心動。
我當下就決定我一定要朗讀給往後我的女孩聽。