
先週の火曜日の午後十一時、私は終電に間に合わず、知らない駅で乗り換えを余儀なくされた。
見覚えのないホーム、見知らぬ人々。時計の針だけが、静かに夜を刻んでいた。
家に帰ると、なぜか服が濡れていて、シャツからは微かに泥の匂いがした。
私は混乱しながらも、まずシャワーを浴びて、気持ちを落ち着けた。
その後、薬箱から安定剤を取り出し、いつも通りに薬を飲んだ。
日記に今日の出来事を書こうとしたが、どうしても思い出せない時間が一時間ほど空白になっていた。
翌朝、上司にレポートを出したはずが、「受け取っていない」と言われた。
帰宅して机の上を探すと、USBがなくなっていた――確かに入れておいたのに。何かをなくした感覚が、じわじわと背中を冷やす。
疲れ果てた私は深呼吸をして、おふろに入った。湯気に包まれたその瞬間、断片的な映像がよみがえった。
血のついた靴、鏡に映った誰かの影、そして……自分の手の中にあった、赤いUSB。
せんしゅうのかようびのごごじゅういちじ、わたしはしゅうでんにまにあわず、しらないえきでのりかえをよぎなくされた。
みおぼえのないホーム、みしらぬひとびと。とけいのはりだけが、しずかによるをきざんでいた。
いえにかえると、なぜかふくがぬれていて、シャツからはかすかにどろのにおいがした。
わたしはこんらんしながらも、まずシャワーをあびて、きもちをおちつけた。
そのご、くすりばこからあんていざいをとりだし、いつもどおりにくすりをのんだ。
にっきにきょうのできごとをかこうとしたが、どうしてもおもいだせないじかんがいちじかんほどくうはくになっていた。
よくあさ、じょうしにレポートをだしたはずが、「うけとっていない」といわれた。
きたくしてつくえのうえをさがすと、USBがなくなっていた――たしかにいれておいたのに。なにかをなくしたかんかくが、じわじわとせなかをひやす。
つかれはてたわたしはしんこきゅうをして、おふろにはいった。ゆげにつつまれたそのしゅんかん、だんぺんてきなえいぞうがよみがえった。
ちのついたくつ、かがみにうつっただれかのかげ、そして……じぶんのてのなかにあった、あかいUSB。
上週二晚上十一點,我錯過了末班車,被迫在一個陌生的車站轉乘。
熟悉的時鐘在靜默中滴答,月台和人群卻全然陌生。
回到家時,衣服竟然濕透,還有些泥味。
我困惑地先沖了澡,試圖讓自己冷靜下來。
然後我從藥箱裡拿出穩定劑,照慣例吃了藥。
想寫下日記時,卻發現有一個小時的時間完全記不得了。
隔天早上,我明明交了報告,但主管卻說沒收到。
回家一查,桌上的 USB 不見了──明明有放著的。那種失去什麼的感覺慢慢從背脊蔓延開來。
精疲力盡的我深呼吸後,走進浴缸裡泡澡。
被蒸氣包圍的那一刻,記憶的碎片突然湧現。 沾滿血的鞋子、鏡中的陌生人影,還有……我手中那枚紅色的 USB。
📘 English Translation(with bolded vocabulary)
Last Tuesday at 11 PM, I missed the last train and was forced to transfer at a station I didn’t recognize.
A platform I’d never seen, strangers all around, with only the clock ticking into the night.
When I got home, my clothes were wet, and my shirt faintly smelled of mud.
Confused, I first took a shower to calm myself down.
Afterward, I pulled a tranquilizer from the medicine box and took my medicine as usual.
I tried to write in my journal, but there was a blank period of about one hour that I couldn’t remember.
The next morning, although I had submitted the report, my boss said he hadn’t received it.
At home, I searched my desk—my USB was gone. I was certain I had it. A creeping chill of having lost something ran down my spine.
Exhausted, I took a deep breath and got into the bath.
At that moment, surrounded by steam, fragments of memory rushed back. Bloody shoes, a figure in the mirror, and… the red USB in my hand.