
一年前の土曜日の午後三時、私は長野県での出張をしていた。
急ぎの仕事を終えた私は、予定より早く自由時間ができた。
その日泊まる予定だったビジネスホテルに泊まり、地元のパンフレットを眺めていたとき、ある登山ガイドが目に入った。
「夕方の山に登るツアー、定員6名、初心者OK」
ふと彼女のことを思い出した。山が好きで、いつか一緒に登ろうと言っていた。
私は迷わず着替えを換えて、山へ向かった。
登山の途中、昔の写真が出てきた。少し色あせたそれを、私はそっと手で洗って、ポケットにしまった。
頂上で風を感じながら、その写真を捨てるか迷った。
でも私は、それをまた胸ポケットに戻した。思い出は捨てられなかった。
その日から一年間、私は毎月その山を訪れている。
そして今度こそ、彼女と一緒に登れる日が来ることを信じている。
いちねんまえのどようびのごごさんじ、わたしはながのけんでのしゅっちょうをしていた。
いそぎのしごとをおえたわたしは、よていよりはやくじゆうじかんができた。
そのひホテルにとまり、じもとのパンフレットをながめていたとき、あるとざんガイドがめにはいった。
「ゆうがたのやまにのぼるツアー、ていいん6めい、しょしんしゃOK」
ふとかのじょのことをおもいだした。やまがすきで、いつかいっしょにのぼろうといっていた。
わたしはまよわずきがえをかえて、やまへむかった。
とざんのとちゅう、むかしのしゃしんがでてきた。すこしいろあせたそれを、わたしはそっとてであらって、ポケットにしまった。
ちょうじょうでかぜをかんじながら、そのしゃしんをすてるかまよった。
でもわたしは、それをまたむねポケットにもどした。おもいではすてられなかった。
そのひからいちねんかん、わたしはまいつきそのやまをおとずれている。
そしてこんどこそ、かのじょといっしょにのぼれるひがくることをしんじている。
一年前的星期六下午三點,我正在長野縣出差。
匆忙處理完工作的我,意外地提前有了空閒時間。
我住在當晚預定的商務旅館時,翻著當地的旅遊手冊,看見了一個登山導覽的廣告。
「黃昏登山團,限6人,新手可參加」
我忽然想起了她。她喜歡登山,曾說過要一起去爬山。
我毫不猶豫地換好衣服,便前往山區。
在登山途中,我發現了一張舊照片。我輕輕洗了那張微微褪色的照片,放進口袋。
站在山頂吹著風時,我猶豫是否要把那張照片丟掉。
但我沒有,我把它再次放進胸前的口袋。回憶是無法丟棄的。
從那天起的一年間,我每個月都會來這座山。
我相信,總有一天,她會和我一起登上這座山。
At 3 PM on a Saturday one year ago, I was on a business trip in Nagano.
After finishing my urgent work, I unexpectedly got some free time.
While staying at the business hotel that night, I came across a local guide pamphlet.
"Sunset mountain climbing tour, max 6 people, beginners welcome."
It reminded me of her—she loved mountains and once said she wanted to climb with me.
Without hesitation, I changed my clothes and headed for the mountain.
During the hike, I found an old photo. I gently washed it and tucked it into my pocket.
At the summit, feeling the breeze, I hesitated whether to throw away the photo.
But I didn’t. I put it back into my chest pocket. Memories couldn’t be discarded.
For the past year, I’ve visited that mountain every month.
And I still believe—one day, she’ll climb it with me again.